(1)都道府県、市区町村、社会福祉協議会を対象に、福祉施設の事業継続計画(BCP)研修、福祉避難所マニュアル作成研修を実施
研修準備については、事務局内に資料・研修器財担当を設けて対応することで、滞りなく実施することができた。
BCPや福祉避難所開設・運営を机上訓練するための新たなツールである「福祉避難所エクササイズ」は、湯井上級コーチ・星野認定コーチが対応した研修で試行を繰り返し、内容を確立することができた。また試行的に協会内での教育も実施し、今後の協会内教育への基礎ができた。
BCP研修
厚労省が義務付けた福祉事業者のBCP作成が最終年度となり、自治体や社会福祉協議会からBCP作成研修の問合せが多かった。
実施した研修は、(株)ぎょうせいを通して北海道別海町・中標津町、認定特定非営利活動法人災害福祉広域支援ネットワーク・サンダーバードを通して宮城県気仙沼市・秋田県男鹿市、広島県(3年目)であった。
要望が多かった小規模施設の実情にあった簡易なBCPひな型も完成し、提供を開始した。
福祉避難所研修
本年も(一財)消防防災科学センターからの委託事業で、7県で福祉避難所マニュアル作成研修を行った。研修調整のため、研修担当事務職員を1名増員した。
(2)研修講師のできる「福祉防災認定コーチ」に加え、実務を行う「福祉BCP管理者」を養成する
福祉防災認定コーチ
2023年度は7名が合格した。研修を現地とオンラインのハイブリッド開催としたことで、関東圏以外からも参加があった。認定間もないコーチについては、2回のOJTが実施できるよう、研修担当事務職員が調整を行った。OJTが終了したコーチについては、サポート講師として出講いただいている。
専門コンサルタンツとの連携は、進んでいない。
福祉BCP管理者
検討の結果、「福祉BCP管理者(2級)」と名付け、研修教材や活動要領の作成などを行い準備した。2023年度は21名が合格した。
(3)広報体制の強化
FMサルース「サロン・ド・防災」では、引き続きスポンサーとして番組内でCMが流れており、協会の知名度向上につながっている。
またホームページ内での福祉避難所マニュアル無償配布を続けており、2023年度は206件のダウンロードがあった(開始時よりトータルで657件)。
(社福)埼玉福祉会の協力を得て、パンフレットのリニューアルを行い、ホームページへのアップも実施した。パンフレットの印刷物については、ぼうさいこくたいなどで配布を行った。今後のイベント時にも配布を行っていく。
プラス(株)の社内カンパニー・ジョインテックスカンパニーと連携して、介護事業者の事業継続計画(BCP)の作成と運用の支援も進んでいる。ただし、ワークスモバイルジャパン(株)のLINE WORKSについては、フリー版で登録できるユーザー数が100から30に減少されてしまったため、福祉施設での利用が難しくなり、研修等での案内がしにくくなった。
(4)企業版ふるさと納税を活用した福祉避難所整備事業を広く展開
企業版ふるさと納税を活用した事業は、2023年度は残念ながら実施できなかった。
ただし、前年度、茨城県常総市で企業版ふるさと納税を活用して実施した福祉避難所訓練について、今年度は市からの委託があり実施できた。
(5)防災スタートBOX、福祉避難所開設BOXの発売
(社福)埼玉福祉会の協力を得て、災害発生後の初動対応をスムーズに進める防災スタートBOX、福祉避難所開設BOX及び福祉BCPひながたセットの販売を続けている。2023年度は通年にわたり、福祉BCPひながたセットの購入があった。購入が増えた分、埼玉福祉会や当会への問い合わせも増え、「マニュアルをダウンロードしたものの、どうやって作っていいのかわからない」等の電話・メール問い合わせに対応する機会が増えた。FAQ作成などの必要性を感じている。
福祉避難所開設BOXを使った簡易防災訓練は、(一財)消防防災科学センター研修やBCP研修等で継続して行っている。
(6)福祉防災コミュニティの維持・発展
個人会員は61名となった(前年度、45名)。「福祉BCP管理者(2級)」や「認定コーチ」合格者を中心に、個人会員への入会が進んだ。会員全員へのLINE WORKSのアカウント発行を進めたいところであるが、アカウント発行手続きや日々のメンテナス、使用者からの問い合わせ等の作業量を考えると、現状の事務局体制では難しく、実行に至っていない。
法人正会員10施設、法人賛助会員1法人の目標に対しては、達成できていない。
認定コーチについては、全員にLINE WORKSアカウントの発行ができたが、招待メールを受け取ったものの対応できていないコーチもあり、研修などを通じて登録を進めていきたい。このLINE WORKSを使い、災害時の安否確認や情報共有ができるようになり、迅速なコミュニケーションが可能になってきた。
(7)被災した福祉関係者への人的応援、及び応援調整
令和6年能登半島地震において、当会の認定コーチ1名が被災したため、支援のため多くの関係者が尽力くださった。当会からもお見舞金をお届けした。
また多くの福祉施設が被災し、福祉避難所・福祉避難所的活動を行う避難所が立ち上がり、被災者支援が実施されていたため、当会関係者およびコーチらによる支援と共に、プラス㈱ジョインテックスカンパニーの支援による福祉関係者への物資提供、およびフェリシモ㈱「もっとずっときっと基金」からの支援をいただき、34施設への支援を行うことができた。これらの支援は、当会上級コーチ・認定コーチが無償で行ってくださった。心より感謝申し上げる。
JVOADや関係団体との連携もあり、被災地内外で情報共有を行うことができた。
(8)協会が認定する「安全安心魅力施設」の基準作り
認定検討委員会を設け、3回の会議を実施し、「安全安心魅力施設」の認定基準作りを実施した。次年度から、施設の認定を実施していく。