「一般社団法人 福祉防災コミュニティ協会」
~安全・安心で魅力ある福祉を目指して~

はじめに

2024年元旦に発生した能登半島地震においては、建物の下敷きで多くの方が亡くなると同時に、避難生活の困難さから関連死も発生しました。被災地の状況を見ると、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震と同様に、いやそれ以上かもしれない厳しい避難生活を多くの方が送られています。特に、高齢者、障がい者、こどもなど脆弱性の高い人に対する支援が不十分でした。災害前後の福祉支援をいかに進めるのか、これは私たちのミッションであります。改めて気を引き締めて取り組まなくてはなりません。

私たちは、災害時の高齢者、障がい者、こどもの避難所として福祉避難所の充実を目指し、(一財)消防防災科学センター様からの委託事業により例年、7県で福祉避難所マニュアル作成研修を実施してまいりました。そこで、能登半島地震の被災地で福祉避難所がどのように活動されたのか、ほぼすべての福祉避難所を訪れてヒアリングを行いました。同時に、株式会社フェリシモ様の「もっとずっときっと基金」のご支援により、福祉避難所運営された事業者さまに支援金を届けることもできました。また、プラス株式会社様のご厚意により、社会福祉協議会や福祉施設に支援物資を届けることもできます。

実際の福祉避難所の運営は壮絶です。4人の職員で300人以上を受け入れて世話をされた福祉避難所や、停電・断水の中で懸命に運営を続けた福祉避難所の声を聞きました。災害救助法を使えるものであっても緊急なため、行政に要求することなく、自分たちの資金で運営せざるを得ない実態も多数、ありました。

2024年度は、これまでより多い8県で福祉避難所マニュアル作成研修を実施することが決まりましたが、単にマニュアル作成を支援するだけでなく、災害時に効果的に機能するような知識、技能、態度をお伝えしなければなりません。

また、まもなく、今年も出水期がやってきます。今年は例年以上に海水温が高く、大きな水害が懸念されます。少しでも多くの福祉避難所が開設されることを願って、本協会の「福祉避難所開設・運営マニュアル」を無償で公開しています。

乳幼児、妊産婦、障がい者や高齢者と地域とのつながりが弱くなり、社会インフラに依存する都市型社会にあっては、「地域共生社会づくり」が極めて重要です。みんなの困りごとである災害対策を契機に共生社会づくりを進めてまいりましょう。

今後とも本協会に対し、関係者各位のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

2024年6月吉日

一般社団法人 福祉防災コミュニティ協会 会長 浅野 史郎


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