2023年8月4日(木曜)
跡見学園女子大学教授
(一社)福祉防災コミュニティ協会代表理事
鍵屋一
昨日からの東北地方、北陸地方の豪雨災害で被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
最上川などの氾濫、多くの床上浸水、道路の冠水、土砂崩れなど広範囲に多くの被害が出てしまいました。土中に雨の量が多い時に強い雨が降ったり、その雨が収まった後でも土砂災害が発生する可能性があります。救助活動をされている方々におかれましても、引き続き厳重にご注意くださいますようお願いいたします。
被災者のみなさまには、呆然とされていることと存じます。そして、できるだけ急いで片付けようとされるかもしれません。でも、片付けは少し落ち着いてからで大丈夫です。近所の方と話をされながら、ゆっくりと進めてください。急いでやるべきことは、家の四方から被害の写真を撮り、証拠を記録することです。まもなく、ボランティアが駆けつけてくれますので、遠慮なく支援をお願いしてください。
メディアの方々には被災者、被災自治体支援の観点からの報道をお願いいたします。 災害が発生してしまえば、事前の対策がどうだったかなど検証している場合ではありません。被災者はもとより自治体、防災関係団体は、次の被害を最小限度にとどめるため、全力を尽くさなければならないからです。
また、高齢者・障がい者等の支援のため、自治体、福祉関係者、自主防災会の方には、従来の対策とともに以下のことにも取り組んでいただけますよう切にお願いいたします。
(1) 福祉避難所の開設
福祉施設も大変な中ではありますが、余力のある施設は事前指定の有無にかかわらず、また自治体からの要請を待たずに、福祉避難所として高齢者・障がい者等を受け入れていただきたいと思います。
福祉避難所では、人と物資が不足するので、早い段階で仲間の法人、会社、自治体に応援要請をすることが大切です。長期戦になりますので、職員が疲れ切ってからではなく、早めに交代要員を確保してください。
(2) 在宅高齢者、障がい者等の早期見守りと支援活動
災害後には、在宅高齢者、障がい者等の見守り支援により災害関連死の防止が最も重要です。居宅支援の福祉関係者は高齢者等の体調の変化に気遣い、支援物資などを届けながら、具合が悪そうでしたらすぐに保健師などに連絡をお願いします。
また、落ち着かれたら、生活支援や再建に関する重要情報を在宅避難者らにお伝えください。可能でしたら、社会福祉協議会には福祉関係者を中心に在宅支援を行う「地域支えあいセンター」を、早期に設置することをお願いします。
これまでの災害で「地域支え合いセンター」業務を担われた方は、リモート、または現地でその経験をお伝えください。
(3) わかりやすいお役立ち資料
『水害にあったときに~浸水被害からの生活再建の手引き~』
日常生活を取り戻そうと考え始めたときに有効です。イラストが多く、保険の請求、浸水した家屋の泥出し・乾燥などのポイントがとても分かりやすいです。(「震災がつなぐ全国ネットワーク」作成)
チラシ版(A4版4頁)
水害被害にあった際の必要最低限の情報を掲載しています。まずはこれを印刷して配布をお願いいたします。
冊子版(A5版32頁)
冊子版では、写真やイラストを用いて、
1.まずは落ち着いて(ある程度の期間がかかるので慌てずに)
2.必要な手続き(役所や保険会社、税務署など手続きもいろいろ)
3.家屋のかたづけと掃除(何をどうすればいいのか写真とイラストで解説)
4.水害からの生活再建「私の場合」(被災者の生の声を掲載)
という構成で、水害にあった際の対応について情報を掲載しています。
冊子・チラシを補完する「水害後の家屋への適切な対応」(A4版4頁)
これまでの冊子・チラシを補完するため、より具体的な水害後の家屋への適切な対応が書かれています。直後の応急対応にはとても役立つものです。
上記、すべては以下の「震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな)のblog」からダウンロードできます。
https://blog.canpan.info/shintsuna/archive/1420
『新型コロナウイルス 避難生活お役立ちサポートブック』
健康チェックリストや感染者、濃厚接触者、要介護者、妊産婦・乳幼児など被災者の状況に応じて、学校の教室を活用したゾーニングレイアウト案を参考にされてください。
「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」の専門委員会「避難生活改善に関する専門委員会」作成
1)新型コロナウイルス感染症避難生活お役立ちサポートブック(第3版)
2)資料集
※上記2冊は、対になっているのでセットでご覧ください。